スイング

 曇り、芝生の上には融けずに残った白い雪がある。気温は零度。

 世界は、常にスイングしている。均衡を保っているように見えてもわずかな揺れが今まで落ち着いていた部分にさざ波を立て仕舞には大荒れの様相を見せたりする。

 あれ程騒がれたギリシャを発端としたEU債務危機も揺れが収まれば何となく何もなかったかのような様子である。その代わりその所が安定すればまたも別な所が騒がしくなる。世界全体が安定したように見えるのは、一斉に設定が異なる多くのメトロノームが一時的にそろう時があるようなものである。

 例えば、日本も東日本震災で大きなダメージを受け混乱を来したが、今のところその不安定な所で波が静まったように見える。その安定もやはり不安定な土壌に上に存在しているため何時大きな揺れが戻る可能性が無いわけでは無い。

 世界は広く、全てをコントロールできるものでは無い。月から見た地球が何事もなく回転しているように見えたとしてもそれは遠くから俯瞰しているから細部が見えないだけに過ぎず、その中に存在する砂粒の程度の集団が地球上で混乱の種をまいている。