J1昇格決定戦

 曇り、気温は1度。比較的暖かいが、比較的でありやはり寒いのには変わりない。これも錯覚の一種だろう。

 しかし、この一時の温かさは寒さに向かう一歩手前の現象で、やはり寒さは自動的にやってくる。相変わらず低気圧は北の海で猛威を振るっているようで、もしあの周辺で生活している人がいるとしたらどのようにやり過ごしているのか聞いてみたいところである。


 昨日は、J1昇格プレーオフとJ2&3入れ替え戦があった。J2&3入れ替え戦はまず金沢が一勝した。そして、注目していたのは、J1昇格プレーオフである。もしかしたら終盤この戦いに巻き込まれそうになり、最終戦の戦い方に不満があったが、J2優勝できJ1に昇格で来たコンサドーレを応援しているものとしては、やはりあの試合の引き分け狙いは正しいと思わせる試合だった。

 残念ながら2試合とも同時刻に行われたため、両方の試合を同時に見ることはできず、更に用事があり出かけていたので録画を追っかけ再生しながら見ていた。

 その録画に選んだのは、松本対岡山の試合であった。

 なぜその試合を選んだかといえば、セレッソと京都の試合は、漠然とセレッソの勝ちを予想しており、番狂わせは無いと読んだからである。

 そうして選んだ松本対岡山の試合は、ホームの松本市で行われたわけであるが、満員の競技場を埋める緑色、そしてアウエィ側を埋める赤色の塊というある意味対象カラーでスタンドは彩られた形である。

 試合は、一方的に松本が攻めていたがゴール前を固める岡山に守られ得点が入らない。岩政を筆頭とする岡山の壁がことごとく松本の攻撃を跳ね返す。

 そうして攻撃を繰り返すことで一瞬の隙が松本に生まれ岡山の最終ラインから蹴りだされたボールは上手くワントップの押谷にわたる。そこから見事だったのは、一対一でゴールキーパーの動きを見定めてゴール左隅に流し込んだことである。

 試合は分からないものである、相手を圧倒していても隙は必ず生まれてしまう。その隙間を上手く切り込まれてしまえば失点は事故のように起きうるという典型だった。

 その後も松本が同点に追いつこうと必死で攻撃を繰り返す。しかし、松本は落ち着いて見えた。何時か得点を決められるという思いが選手たちにあった。そして後半、CKからパウリーニョが頭で押し込み同点とする。しかし、結果的に見ればこの得点が少し早すぎた。

 監督の指示が明確にあったか知らないが、相手の反撃に対して少し守ろうとする気持ちと追加点を取ってやろうという両方の気持ちが選手たちにあったように見えた。試合的には、同点であれば勝ちなのだから岡山が前半ゴール前を固めたように全員で守れば良かったのだ。

 しかし、自分たちの攻撃になったときに簡単に前に蹴りだしてしまい相手の陣地内でボールキープをしなかった。得点を決める攻撃ではなく相手の陣地内でボールをキープするでもない中途半端なまとまりのない時間帯、そうして松本ベンチで残り一分の指示を全員でしているその時間帯、岡山ボールから蹴りだされたボールは、最初のゴールと同じようにつながりワントップの赤嶺に渡りこれも落ち着いてゴールを決める。

 あの時間帯に起きた選手たちの守るか攻めるか統一されない動きは、コンサドーレの試合でもあった。その隙は、相手にとって絶好の時間帯である。これを決めるか決めれないかで試合は決まる。それは松本にとって残酷な時間帯でもあった。

 そうして松本が破れ岡山が勝ち上がることになった。もし、次の試合でセレッソも破れば6位からの昇格となる。去年の山形と同じで下克上そのものである。あと一歩でJ1昇格を逃した松本にとって2度目のあと一歩はなんと残酷なことだろう。相手の岡山と比較して失うものが多すぎる。

 戦い方としてやはり後半の攻撃の拙さがリーグではめったに見られない試合展開を生んだ。もし引き分けなら負けというなら松本の選手の動きも統一されたものになっただろうが、そうでなかったことが油断を生んだということである。更に最後のゴールなどは本当にうまくボールがつながった。良い方向にボールが転がったとしか言いようがない。

 こういった試合は、年間優勝という勝利の積み重ねと違い一発勝負なため、本当に強いチームが勝つわけでなく勝ったほうが強いチームであることを証明して見せたと思う。