AIスピーカー

 雨、気温は20度。


 朝のテレビを見ているとAmazon Echo のCMが始まった。そのストーリィ―は、父親と息子が母の誕生日を祝うために手作りのケーキを作り、帰ってきた母親を驚かせようというものである。

 何やら見ていると、この家は父親が専業主夫で、何時も台所に立っているのだろうかと思うぐらいテキパキとECHOに問いかける。何時も日常的に使っていなければできない芸当である。

 更に、その中で気味が悪いのは、その父親が自分の妻が帰ってきたときにECHOでハピィーバースディをうたわせる場面である。幾ら歌が下手だとしても誕生日を祝うのになぜ自分と息子でうたわない。その機械も自分たち家族の一員として扱っているのだろう。

 声一つで、足りないものを注文し、部屋の明かりを付けたり消したりする。如何にも便利な世の中になり始めているのだと見ているものを思わせる。何度も言うが何故そこで歌わせる。

 そして感じるのは、AIスピーカーに話しかけ続けることでこの家の個人情報はAmazonに収集され続けているのだろう。きっと誰かの誕生日なのを忘れていたら教えてくれるだろうし、あれこれ忘れていることも思い出させてくれるだろう。その代り、その情報を覚え込ませておく必要がある。スケジュールから何から保険証の番号、銀行口座、ありとあらゆることを覚えさせてしまえばいざとなった時に便利な存在になる。


 AIの時代が到来し、進歩は急速である。人間社会がそのスピードに追い付いていない状況である。このまま進めば、AmazonGoogleなどの巨大グループが世界中の個人情報を保存する時代が必ず来る。もしかするとそこで完結する世界になる可能性もある。その時、両企業は、世界の国々とどういう関係を保つのだろうか?

 両社ともグローバル企業なだけに軋轢を生むことは間違いない。