エボラ パンデミック

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 米国初のエボラ出血熱患者の対応に当たった医療関係者の2次感染が相次いだことによって、感染拡大を阻止するための米当局の対応に数々の不手際があったことが明らかになっている。

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 テキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院(Texas Health Presbyterian Hospital)で受診した際には、その4時間後に帰宅を許されていた。この決定が、救急医療室にいた他の患者やダンカンさんの家族、医療スタッフらの感染リスクを高めることになった。

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同病院ではエボラ出血熱患者を受け入れる準備が悲惨なほど不足していたことが明らかになったという。

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28日に病院に搬送された際、数時間にわたり隔離されずに他の患者らと同じ場所にいた。また病院関係者の誰一人として、対応手順や、身に着けるべき防護服の種類を知らず、訓練も受けていなかった。血液検体は、必要とされる特殊な密閉法やラボへの手渡しが実施されておらず、ダンカンさんの治療に関わった看護師らは、適切に体を防護していなかった。


 これは、非難すべきことでは無い。実際日本に感染者が渡航してきて都内で数日行動し、発熱で一般病院を受診した際の対応はこの比では無いと想像される。

これは、他人事では無く日本でも起こりうるし、もっと最悪の事態も予想されることである。


 日本での問題は、そういった感染者が滞在する場所の人口密集度が高い部分を通過すると予想されるからである。

 例えば成田から東京都内にはいり山手線経由でどこかのホテルに宿泊し、翌日、沿線周囲を徒歩で移動した場合どれだけ不特定多数の人間と接触するか判らない。混雑した通勤電車の様子を想像すれば良いだろう。都内の移動は、そういった公共交通機関を利用すると考えられる。

 更に発熱で医療機関を受診する場合、一般病院の外来を想像して欲しい。多くの受診者が待合室に長時間滞在している。今後、インフルエンザなどが流行すれば発熱者の隔離など満足にできないし、隔離した場合その個室に閉じ込められた患者同士の接触も起こりうる。

 実際、発熱で病院に運ばれた場合、医療関係者は防護服を身にまとって診療することは間違いなく不可能で、医療関係者は高い確率で感染の恐れがある状態で働くことになる。

 もし、一人の患者が一般病院に辿りつけば、間違いなくその医療機関から感染者がばら撒かれる。そうなれば東京は、数日でエボラのパンデミックに襲われるだろう。

 東京がそういう状態になれば、日本全国くまなく感染者は増えることを想像するのは容易い。それを治療する施設がどこにあるかということになる。都道府県レベルで新型鳥インフルの際指定された施設が存在するが、大量の患者が発生すればそれを隔離する施設は無い。

 ニュースでは、成田赤十字の映像が使われていたが、あの規模で成田に降り立った発熱者を隔離していれば、疑いを含めれば一日で防疫体制が破綻することは火を見るより明らかである。

 もし、都内で一人でもエボラ出血熱の患者が発生すれば、1か月程度の外出禁止令を引かなければならないレベルである。その覚悟が今の政府関係者にあるかどうかである。

 大規模な感染を防ぐには、それをするぐらいの勇気が必要で、手を抜くとどこかが綻び元の木阿弥になってしまうのは、何事においても同じである。

 もう一つ、アメリカが怖れるのは、テロ活動だろう。もし感染者がアメリカの大都市に密かに送り込まれ感染行動を行えば間違いなくアメリカの国家としての機能を失う。それは、目的の為なら自分の死をも恐れないという人間が実際に存在するのだからそういった行動を起こす確率は非常に高い。

 それは、アメリカだけでなく日本も例外では無い。ただ、テロ活動を行う組織も、感染者を作る際、それにより自分たちも感染のおそれがあり、組織が機能不全に陥ることも有りうるという事だろう。

 そういった不幸な事態に成らないことを祈るだけである。