コンサドーレを深掘り

 曇り、気温は3度.昨日は道内各地で積雪があった.本当に冬が近いというか道内は冬に入りつつある.

 

 火曜日の試合でコンサドーレが川崎にJリーグで初めて勝った試合を見て少し感想を書く.昨日は、ある意味勢いで記事を書いた.そこでちょっと冷静になったところで自分なりの考えを書いておくとする.

 

 何故、ミシャ監督の作戦が成功したか?

 

 一つは、Jリーグの中であれほど前から圧力を掛けるチームが無いというところだろう.前からプレスを掛けてくるチームは結構ある.その代わり前に圧力を掛ければ掛けるほど最終ラインの後ろは手薄になる.そこに走り込む選手がいるチームと試合をするとコンサドーレの場合競り負けて失点することが多い.もし、世界最高峰のGKがいれば一人で何とかするかもしれないが、JリーグでそういったレベルのGKが居るチームは無い.普通ならそういう危険性を考えて最終ラインを下げてしまうチームが普通である.

 得点を入れられてしまえば負ける可能性があるのだからリスク管理は必要でそれを考えないチームが普通である.

 その点で言えば、この試合のミシャ監督の考えは、川崎の先発にDFラインを置き去りにするようなスピードとテクニックを備えた選手がいないこととその選手にマンマークを付けておけばある程度時間稼ぎができると割り切っていた.

 そのため最初から高いラインを作りボールを持つ相手チームのDFラインに常に圧力を掛けて居られた.そうなると相手チームも少しずつラインを下げざる負えず、前線の選手も徐々にボールの距離を短くするためセンターライン付近に留まることになる.

 もし、柏のオルンガ選手のようなスピードとテクニックを備えた選手がいたらこういった作戦は取れなかった.

 

 前からのプレスは、諸刃の剣である.相手に前から良いボールをつなげさせなければ、ロングボールを多用するようになる.この点も後ろに居る選手が競り勝てればボールを跳ね返すと自分たちのチームの攻撃に移ることができる.その点も、前の選手が余りポストプレーが特異な選手がいないという点が有利に働いた.

 

 攻撃は、残念ながらサイド攻撃からクロスを上げるか、福森選手がピンポイントで狙うロングパスが通ればとい形しかなかった.ゼロトップの弊害でクロスやパスの標的となる選手が前にいないため殆どのボールが相手DFに競り負けていた.中でポストプレーができる絶好調のジェイ選手が先発していれば結果は違ったが、そのキーとなる選手がいないため得点を上げれない、上げるとしたら相手選手がミスをするか跳ね返りのボールをミドルシュートするかしかなかった.

 

 だからどうやって得点するかミシャ監督は考えたに違いない.前半、前からのプレスで相手DF陣を翻弄し、精神的に疲れさせておき、後半開始から徐々に疲れのピークが来たところで、ロペス選手とドウグラス選手を投入した.これが大成功だった.

 後半開始と同時に川崎も選手交代し、生きのいい若手を投入してきた.この部分でコンサドーレのプレスも交わされ川崎の攻撃が続く、その攻撃を跳ね返しながらも前からのプレスを止めなかったのは作戦というしかない.あそこで引いていたらサンドバック状態になっていたに違いない.

 川崎の攻撃をかわし続けたことで相手の意識は前に重心を掛けた状態だった.中盤が空き選手と選手との距離が空き、中盤に人数が居るコンサドーレが複数人でボールホルダーにマークに行き、相手のパスコースを限定させることでボールをカットできた.

 そしてカウンターにはめっぽう強いロペス選手の良いところが出た.スペースがあり相手DFが待ち構えていないシーンではドリブルでかわすことができる.そして上手く相手DFを抑えながらGKの守備を交わすシュートを打てる能力を発揮できた.

 更に、先制された川崎が前に行こうとする体制の時に同じようにプレスでボールを奪って相手DFより数的優位の状況でパス交換し理想的なゴールを奪って見せた.

 

 さすがに後半は、前に出る圧力も弱まり相手に得点を入れさせないようにゴール前を固めることに結果的になってしまった.ミシャ監督の理想では、後半終了まで前から鬼プレスできることなのだろうが、2時間休まずできる選手はいないだろう.体力を温存できるような試合の入り方をしていたら使われなくなるのを選手たちは知っている.

 また、これができたのも冬に近付き気温が下がり体力的にある程度持続できる時間が長くなったこともここにきてチーム力が上がった要因である.

 

 次節は、FC東京との試合である.前線にスピードを誇る永井選手がいて、更にテクニシャンのレアンドロ選手、オリベイラ選手もいるチームである.永井選手のスピードは全盛期より衰えたといえまだまだ十分早い.その部分は川崎と違う点である.更にDF陣も日本代表の森重選手がどっしり構え、やりにくい相手だと思う.

 

 試合間隔が空き、選手たちの体力も回復が望めるので先発は同じかもしれない.川崎戦と同様の戦い方ができ勝利できるならコンサドーレの新しい形が完成することになる.

 あるいは相手の選手の構成を予想し戦い方を変えてくる可能性もあるが、ここで引くような監督ではない.意地を掛けて同じ戦い方を仕掛けてくるのは間違いない.

 

 そろそろ怪我人も復帰してきており、選手層も厚くなってき始めている.来季に向けた構想も徐々に選手たちのプレッシャーになってくることだろう.

 そういう意味でチーム力が正しい方向に向けられていけば連勝も可能である.ただし、見事に交わされれば惨敗もありうるところが怖いところで、更に長谷川監督もやり手である.コンサドーレの弱点を突いてくるのは間違いなく、恐ろしいゲームになることは間違いない.