死刑

 曇り、所々に青空が見えており、高層に浮かぶ雲は動きが判るほどに速く流れている。気温は、マイナス10度くらいだろう。

引用 東京新聞http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012022190071057.html

 山口県光市で一九九九年四月に起きた母子殺害事件で殺人と強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた犯行時十八歳一カ月の元少年(30)の差し戻し上告審判決で二十日、最高裁第一小法廷は、元少年の上告を棄却した。最初の上告審で一、二審の無期懲役を破棄、高裁に差し戻した後、死刑とした控訴審判決が確定する。金築誠志裁判長は「犯罪の性質が甚だ悪質で結果も重大。少年だったことを考慮しても死刑を認めざるを得ない」とした。 


 人は、変わるものである。しかしその速さは、個々に異なるし振れ幅も異なる。今善き人であっても、一秒後には悪人に変わりうる生き物である。

 それは、ライオンが空腹で獲物を見つけた時に本能で飛びかかり、満幅の時は獲物を眼前にしてもやり過ごすように、ある意味体の奥底に本能を隠し持っている。

 それを露わにしないのは、常に飽食感を覚えているからである。

 今回の、事件の犯人も、犯行を行う際は何かに飢えていたのである。それは、性欲であったり、金銭欲であったりなのだろう。それを達成するためには、自分の人生が破滅することも厭わなかったのだろう。

 そして、その飢えを満たせば大人しくなるのは動物と同じである。

 さらに、環境が飢えを感じさせることが無くなれば、考えも変わる。それが変わるのが早いか遅いかは、人によって異なる。

 時や場所が異なれば、この犯人の犯行も許されたかもしれないが、今の日本は、多くの人間が満たされた状態であれば、自分たちの環境を脅かす存在は、排除すべきものである。

 草をむしばむ羊たちの群れにオオカミはいらない。羊を飼うモノ達にとっても大事な売り物となる羊を先に奪い取られることを良しとしないだろう。

 場合によっては、オオカミに羊を差し出すことがあるかもしれないが、今はその時期ではない。

 今、この時点で彼が法によって裁かれ「死刑」を宣告されるのは正しい。しかし、人間の心は変わり続ける。そして同時に世の中も変わり続ける。今の時代の流れをを受け入れるしかない。

 少なくとも今の我々の多くは満たされており、無防備でも生きて行ける時代にいるからである。