風よけ

 みぞれに近い湿った雪が降り始めた。気温はマイナス0度付近だろう。

 この時期、新年度を迎えるために何だか慌ただしい。その慌ただしさから抜け出したいと思うのだが、中々周りが許してくれない。

 本来の性格は怠け者なのだが、周囲の期待があると気力を振り絞って体を動かすところがある。

 その狭間にいるとどうしても精神的に落ち込む時が増えてくる。更に周囲の期待に背かないように装うことが更に精神にダメージを与える。今まさにそういう時期を迎えていると言える。

 若い時なら、そういった時期は、ある程度年配者に任せて、その後ろに回っていれば風向きも避けることができたのだが、いよいよもってその風を遮る人間が居なくなってくるとそうもいっていられない。

 先頭に立って歩く者には、勇気が必要だ。後についてくる者の風よけとなりつつも、これから起こる災害に対して犠牲者を最低限にする必要がある。

 ある意味、非情でなければリーダーは務まらない。その非情さが、理に叶ったものであれば誰からも信頼を失うことは無いであろう。

 人はそれぞれグループの掟は知っている。暴力団であれニートであれ、自分の置かれた立場は知っており、その掟に従って生きて行くことは知っているのである。

 そして一端風が止み、暖かい日差しが溢れるとそこでリーダーの役割は殆ど終了となる。

 誰もが勝手気ままにふるまったとしても最悪の事態は中々訪れないからである。


 まあ、それでも毎日が過ぎて行くのだから成るようになるのは間違いない。それでいいのだろう。