札幌 vs 山形

 雪、日曜の午後から積もった雪は膝くらいまでになっていた。気温はマイナス4度。


 日曜日は、ドームに本拠地開幕戦を見に行った。ドームについたのは、11時30分くらいだったが、入場者を裁くためぐるぐる回る格好になり、相当歩いた。開幕は2万人程度を見込んでいたのだろうが、その数があの入場口に殺到すれば混雑は避けられず、当日券を買う人の列も混ざり危険だと判断したのだろう。入場者数は1万6千と結構な人数が入ったのでそれも仕方が無い。

 ホームの最初の試合という事でライトが落とされ物々しく始まったが、すこし時間が長かった。もう少しシンプルでも良かったのではないだろうか?ドームの雰囲気を盛り上げる演出意図は判るが間延びすると上手く盛り上がらないし、ホームゴール裏の応援とも上手くリンクしないと演出がちぐはぐになる。

 試合は、勝てる試合だったし負けてもおかしくない試合だった。それは両者とも決定力の差というものなのだろう。もう少し決定力が有れば札幌のワンサイドゲームにできたので惜しい試合だったともいえる。もし2位以内を狙うなら落としくたくない試合であるが、この先勝ち続けるのは、大変だとも思わされた試合でもあった。

 試合は、札幌、前田のゴールが決まり幸先良いスタートを切ったが、得点を入れた後、上手くゲームをコントロールできず相手にチャンスを与えてしまった。それが去年から変わっていない。もし本当の強豪ならあの山形が攻めている間、ゴール前にカギを掛けるのか、それとも相手の攻撃を受けとめながら跳ね返しを自分たちの攻める時間にしなくてはいけないのに、跳ね返しが相手に渡っては、自分たちの時間が作れず相手に攻撃のリズムを作られてしまう。試合の流れは相手に渡ると結構帰ってこないものである。

 そして前半の後半に相手にゴール前で粘られジエゴにシュートを決められる。前節の相手にシュートを打たれても体を張った守備が出来ていたのに、何故それが出来ないか?すこし相手に対する油断が有ったのだろう。その一つが、前節と違い、チームに河合、日高が加わり、何故か選手が安心してしまったのだろう。前節は、松本、上原拓というまだ若い彼らを周りがカバーしようという意識が上手く回ったのだろう。しかし、真ん中に河合が入ることで、選手たちに甘えが生まれたのだと思う。

 

 実際、河合の読みは素晴らしく、相手の攻撃の芽を何度も積んでいた。それは、安心して見れるくらいであった。しかし、それは良薬でもありチームにとって毒だったのかもしれない。若手の成長の観点から言えば、もう少し守備意識を高めるために河合がいない方が成長するだろう。しかし、そのために何試合を捨ててしまうのか判らない。その辺り成長と勝利という天秤に掛けながら戦うしかない。本当なら、試合中でも河合を押しのけて若手が守備をするくらいの気概が無ければいけないだろう。それがチームの成長につながる。若手が遠慮した試合をしていては何時までもチームはこういう勝てるゲームを落としてしまう。

 後半、両者チャンスが決められずドローとなったが、やはり札幌で気になったのは、交代で入った選手の試合を変えてみせるという気概である。

 特に、工藤、去年もそうだが、気合が空回りするというか、試合に入れていない。それは、カウンターの時、疲れていた内村を走らせるようなスルーパスを出したシーンである。

 相手のバックは、内村同様疲れていたはずである。あの時、自分がドリブルで仕掛けていたらゴール前に持って行けて更にそこで内村にパスを出すことが出来ればチャンスが生まれたはずである。それをせず見す見す相手にボールを渡してしまう思慮の無さは残念である。18歳の新人なら致しかたないが、即戦力として入団した割には残念な事である。

 

 跡は、石井、荒野も後半から入ってきてあの動きでは先発は無理だろう。それに比べ内村選手の頑張りには本当に頭が下がる。前で守備をして、最後はバテバテだがそれでもゴールを狙う執念は称賛に値する。前田もあれくらい守備をして前に行かなければ、天才の名が無くだろう。

 開幕という事で、気負ったか、運動量は後半下がってしまった。技術が無いチームは運動量でカバーするというのが鉄則である。その運動量が無いのが残念だった。J2のチームは軒並み運動量の高いチームが多い。この先、運動量で負ける試合も増えるのは昨日のゲームを見ていて思うことである。

 夏には、小野が加入するが、果たしてその頃どの位置にいるであろう。小野も試合では走らない選手の一人である。それでもテクニックが有るので攻撃には有力な駒であるが、守備に関しては、あまり期待できない訳であるから、周りがカバーする必要がある。そういう意味で、今の前田の位置に入るという事に成るがどちらが攻撃のキーとなるかが重要である。

 そういう攻撃のキーは、先週加入した都倉もそうであるが、どの程度力を発揮できるかである。得点を取らなければ勝てないし。札幌は、最少得点で逃げ切る戦いをしながら若手の成長を待つという戦い方を今季しなければならない。本当にまだ始まったばかりではあるが、スタートの状況を見ている限り、他のJ2のチームと力の差が無いだけに苦しい戦いは続くだろう。