棚氷

 曇り、気温は12度。


 引用 CNN(http://www.cnn.co.jp/fringe/35064626.html) 

米航空宇宙局(NASA)はこのほど、南極大陸の「ラーセンB」棚氷について、2020年までに完全に消滅する可能性が高いとの研究結果を発表した。

棚氷は氷河が海に張り出して浮いている部分。背後からすべり下りてくる氷河をせき止める役割を果たす。ラーセン棚氷は南極半島の東岸に位置し、A、B、Cの3つで構成されていた。

NASAの研究チームによると、このうちBの崩壊が加速している。

ラーセンBは1万年以上前に形成されたと推定される。02年に一部崩壊し、わずか6週間のうちに巨大な氷が一気に消滅する様子が科学者らを驚かせた。数年前から高温の夏が続き、この年は特に気温が高かったことが原因とみられる。

1995年には約1万1500平方キロメートルあったラーセンBの面積は、02年2月までに約6700平方キロ、同3月には約3500平方キロに縮小。現在の面積は1600平方キロ程度で、米国最小の州、ロードアイランドの半分にも満たない。

その急速な変化は、気候変動が南極の棚氷全体に及ぼす影響を象徴しているといえる。NASAの研究者は「棚氷の崩壊を目の当たりにすることは科学者として興味深いが、地球にとっては悪い知らせだ」と話す。


 棚氷と言う言葉を初めて聞く人が多いと思う。自分もこの言葉を知ったのは、10年前程の事だと思う。棚氷とは、大陸の上に乗った氷のことである。その殆どが南極大陸にある。

 きっとそのイメージは、スケートリンクのようなものと思うかもしれないが、アニメ映画の「アイスエイジ」を見たことがある人ならわかると思うが、あの映画に表現されている場面を思い出していただければ大凡の感じがつかめると思うが、その高利の厚さは4000メートルに及ぶところもある。

 4000メートルというと富士山がすっぽり隠れてしまう厚さの氷という事である。それ程厚い氷が徐々に崩壊して海面に雪崩を打つように落ち解け始めている。

 南極のラーセン棚氷は大きく分けてラーセンA,B,Cに分けられていた。その内のAは1995年に崩壊してしまい既に無く、次のラーセンBも2020年までにすべて消えてしまうと予想されている。

 残ったラーセンCは比較的安定している(気温が低いため)ので当分融け出さないと予想されているのだが、それも環境変化で全て融けてしまう可能性もある。

 南極大陸の大きさはオーストラリア程度の大きさが有りその上に富士山級の厚さの氷が載っているのでその重さで大陸も圧力で沈んでいると言われている。もし全ての南極の氷が融ければ(半分程度かもしれない)その重さから解放された大陸が上昇するであろうと考えられているが実際そうなるかどうかは判らない。

 南極の全ての氷が融けてしまうと地球上の海面が60から70メートル上昇されると言われているが、これも氷の重さで沈んだ大陸が上昇すればということになる。何故なら南極の氷の45%程度は海面より下にあるとされているからである。

 実は棚氷は、大陸上の氷の塊が徐々に海岸に向けて移動したものである。その移動スピードは毎年数センチ単位だったのが、ラーセン棚氷のような棚氷が無くなってしまう事で大陸から海に流れる氷の山を堰き止める力が無くなり加速度的に海に移動すると考えられている。

 NHKの「クローズアップ現代」で2013年1月29日(火)放送されたものをリンクするが、過去に南極大陸の氷が融けた時に海面が9メートル上昇した痕跡をフロリダ大学 准教授 アンドレア・ダットンさんが見つけている。

 もしそうなった時、あなたの住んでいる街がどうなるかGoogle mapで見ることができる。下のリンクをクリックすると判ると思うが、石狩地方は、石狩浜から丘珠空港辺りまで海面となり、更に石狩川水系千歳川流域の周辺が水没する。

 更に、海は満ち引きが存在するので相当の地域が海面下に沈むことになる。きっとその時にはオランダのように防潮堤が必要となるだろう。


 海面上昇(9m)の時の石狩地方


 2020年と言えば東京オリンピックの年である。その時本当にそういったお祭り騒ぎができる環境にあるか不安である。東京などは、海抜が低い地域が存在するのだから数メートルの上昇で高波が来ればあっという間に海水で覆われてしまうからである。

 残念ながらこの南極の氷が融ける現象を食い止めることは人間には不可能と思われる。それから避難することしかできない。この先の未来に生きる人間の暮らしはそれ程安泰では無い。