異常気象

 曇り、顔に水滴が当たる。気温は22度。

 台風の爪痕は深い。道内は一部の地域の記録的な豪雨と長雨で地盤が緩み大規模な災害に襲われた。被害に会われた方々はどうしてこんな天災がやってきたのかと途方に暮れているだろう。

 今回の台風の通り道について解説があるが、西側にある大陸の高気圧と東にある太平洋高気圧、さらに偏西風の蛇行により日本の太平洋側に沿った台風の通り道が出来上がったことによる。

 観測史上初という東北に上陸したのだから誰も台風が直撃するとは思わなかったし、さらにそれに引き込まれた前線がもたらす雨雲が大雨を降らし、元から雨に対しては備えの薄かった地域の川に集まったことで洪水を引き起こしたということである。

 ではなぜ今までの台風の経路が変わったかといえば、大きな気候の変動をもたらした要因は、やはり中国を中心とするアジア大陸の熱量の増加だと思われる。

 太陽の輻射熱からいえばわずかな気温上昇だとしても、それがもとになり大気の循環を変えることはありうる。その状況は、昔テレビで実験されていた、それは大きな体育館で風のない状態を作り出し体育館の隅に置いたろうそく一本を燃やしすと体育館全体に広がる空気の対流を生み出すというものである。

 中国が大きな発展を遂げたのは、つい最近のように思われるが、その土台は30年ほど前の日中国交回復のころである。その後、中国国内の安い労働力を使った世界の工場化は瞬く間に進み今の状況を作り出した。その長い年月の積み重ねがアジア大陸の空気の対流を変えたのだと思う。

 ただそれ以外の理由は他にも多くあり、アジア大陸の熱量の放出は一つの要因に過ぎないだろう。しかし、確実に大気の流れの変化は日本に異常気象をもたらしたと考えてよいだろう。

 地球環境の激変化は、地球ができてから幾度と繰り返されその時々の地上の支配者を変えてきた。それは、これまで繰り返してきた歴史をまたなぞるようなものである。

 

 そして、地球温暖化の原因とする人類が発生する温暖化ガスの排出量もここ100年の間に飛躍的に増えてきた。それによる地球大気の変化は、氷河期に向かうはずだった地球の環境を変化させてしまった。この先に訪れる未来は決して明るくはない。

 その一つが南極、北極の氷河の崩壊である。このまま気温の上昇を続ければ指数関数的な急カーブで崩壊は起きるだろう。それによる海面上昇は、人間の生活環境を狭めることになるだろう。さらにそれに伴う食糧難は間違いなく訪れるのだが、それがいつ来るのかがはっきりしていないため、人間は危機が訪れる直前まで気付かないで過ごすのだろう。

 この先色々な困難が人類に襲い掛かるだろうが、残念ながら人類全体の未来予見能力は数年先がやっとであり、目先の障害に対応するだけで汲々としている状態である。自分たちの世代が幸せであれば良いという考えが主流を占めている世の中で地球上の全人類の運命に対しては無頓着である。

 自分でも、果たしてこの先の人類が生き残るすべを考えろと言われれば途方に暮れてしまうだろう。本当に目先のことで一杯であり、一日一日がただ流れていくだけで満足してしまうのだろう。