対 清水 1-3

 曇り、気温はマイナス2度。昨日の陽気からこのまま雪解けが進むとばかり思っていたが、そうとはならなかった。でもこの程度の雪ならあっという間に消えてしまうだろう。

 昨日は、震災から7年が経過した日。しかし、あの時の記憶は何時までも消え無く残っている。あれは記憶の特異日と言うべき事象である。あの時の映像は、滅多にテレビは流れなくなった。青の映像を見てPTSDを発症する可能性があるからだろう。だけれどもしかるべき場所であの映像が見られるようにしておかないとまた人間は都合よく忘れてしまうかもしれない。あの時の教訓を何時までも維持していくことも必要だと思う。


 話は変わる。土曜日、コンサドーレにとって別の開幕となるドームの試合を見に行った。この日は午後4時から先行入場開始となるためと何時もなら2万越えをすることを予想して、午後4時前には到着した。先行入場の待機列に並び待機したのだが、それ程焦らなくても席取りは簡単にできてしまった。後から遅れてきた連れに聞くと全然並ばなくとも入場できたらしい。

 何時もならドームをぐるりと囲んで並んでいたのに土曜の午後7時開始ということが大きな理由になったのだろうか?ここまで勝ち星が無いのも客足に影響を与えているのかもしれない。


 自分としては、初めてペトロビッチ監督の指揮するコンサドーレを見るので、どういった試合運びをするのかじっくり観察してやろうという気持ちでいた。

 札幌は、3-4-2-1の並びで入るのだが、これはあくまで試合開始の並びで試合が始まると、攻撃の時は、2-3-5のような両翼が高くせり出してボランチの2人とCBの誰かが中盤に位置するような動きを繰り返す。チャンスとあらばボランチもゴール前に進出し、時にはワントップのジェイが中盤まで下がるような動きをする。

 ただし、この中盤にジェイが下がってしまうと前のポジションに高さが全く無くなるため攻撃の方法が無くなってしまうのが難点である。そのちびっ子選手のコンビネーションでチャンスを作ったが相手がゴール前を固めるとシュートチャンスはそうそう生まれない。

 更に、攻撃のリズムは中盤に位置するボランチがその役割を果たす。この試合は主に兵藤選手がその役を行っていたが、彼自身も前に位置取りすることも多いので、CBからのボールの配球が増える。

 中盤でボールを裁ければ前半の前半のように上手くボールが繋がり得点を決めることができるが、清水がその後、両サイドにボールが入ると2人以上でケアするようになると上手く攻撃を組み立てられなくなる。特に進藤、三好、駒井選手の関係は最初だけで時間が経つともに上手くいかなくなる。

 

 その理由は、清水のCBの背が高く、サイドからボールを上げてもジェイまで届かないため、三好選手はサイドではなくセンターに向かってドリブルを繰り返し自滅するようになる。本来なら右サイドの駒井選手にボールを預けワンツーを狙うかそれに引きつけられた敵選手の裏を第3の選手が入りボールを受けるというのが正しいのだが、コンサドーレの選手がゴール前でボールを持つとゴール前に人数を掛ける守備をされてしまい、結局手詰まりになってしまった。

 去年の札幌もゴール前を固められてしまうと得点を取るのに苦労したのでミシャに変わって得点の匂いがプンプンするようにはならないのは納得である。チャナティップ選手を含めて菅、三好、駒井選手が個の力でゴールを得るのは正直厳しい。サッカーとはそういうもので実力が拮抗しているとそう簡単には得点を得られない。

 今回、テレビではなく目の前の全体を俯瞰しながら見れたのであれなのだが、やはりミシャのサッカーの本質は好守に優れたボランチの存在が欠かせないということが良くわかった。

 攻撃では相手のプレスを剥して縦パスを供給しなければならないが、その供給源が素早いプレスにさらされれば安定して前に出せない。上にも書いたがCBが縦に速いパスを出すにはその距離に掛かる時間で相手にカットされカウンターを食いやすくなる。そのため大きなサイドチェンジを頻繁にやっていたが、後半疲れが出ると正確なパスが出せなくなりそこで攻撃のリズムが狂うことが何度もあった。やはり、キーは中盤である。

 更に、チャナティップ選手、三好選手、駒井選手のドリブルは、相手のレベルによって脅威になるが、囲んでしまえば止めることは可能である。メッシのように複数の選手に囲まれてもドリブル突破できる程ではない。相手がファールでしか止められないプレーが必要で、その先に代表や海外のチャンスが巡ってくるはずである。

 ジェイ選手は、これからだろう。作戦になれキャンプの疲れが取れればそこそこ得点を決められると自分は安心してみている。しかし、今のコンサドーレは複数点を取らなければ安心できないので、ジェイ選手一人では全くもって心もとない。

 そしてやはり課題は守備である。最終ラインは相手に高さがあればやはり背の高い選手を入れたい。そして攻撃にも加わるので相手カウンターになった際に素早く自陣に戻れる脚力が必要である。

 その条件に合う選手がキムミンテ選手であり進藤選手である。福森選手は、そういう意図で先発していなく、攻撃的CBの一人である。

 最終ラインは、基本攻撃時には1か2人である。ボールを失えば相手の攻撃を止める必要がある。しかし、2人のCBも攻撃に加わるため、少なくともボランチのどちらかがボールホルダーにアタックに行き攻撃を遅らせる必要があるが、相手の攻撃の読みとか脚力、その点においてまだ不安定である。

 もし、失点を防ぐなら今の選手では無理である。守備に対する運動能力やクレバーさが不足している。


 だから勝利するには相手より得点すれば良いという結論になるのだが、相手より得点をとるのは、中々大変である。


 ミシャ監督は守備は教えない方針らしいので、後は選手の能力次第ということらしい。使えないとなれば変えられるだけかもしれない。しかし、ミシャ監督の方法では今のコンサドーレの選手層に嵌っていないのも現実である。日本の選手の中でCBは人材不足なため簡単に補強は不可能である。

 結論を言えば監督交代は危険な賭けだったかもしれない。選手の成長が監督の考えに追いつくまでシーズンが終わらなければ良いとさえ思う。

 見ているほうもハラハラドキドキの戦いが続く。