ウクライナ情勢

 ロシアとの平和友好条約を締結していない日本.立ち位置的には北方領土の問題を抱え対応に苦慮していたと思う.しかし、今のロシアには日本に何の魅力も感じていないことは明らかで北方領土の問題も彼らにとって譲歩する欠片も存在しないのは明らかである.もし日本に妥協すれば彼らがもつ鉄の意志にひびが入ると思っているだろう.

www.jiji.com

 日本国内では一部の評論家がロシアとの交渉について懸念を示しているが、今回のことを認めれば北海道にロシアが武力を盾に上陸しても国際社会が容認する事態が起きてしまう可能性があるということである.世界がまだ西側諸国の結束が高ければそういったことは防げるが、西側諸国の一部が今回のウクライナの現状を認めることとなればそれだけで結束は決壊する.その時、日本の立場は一体どうなるかを考える必要がある.

 今の世界のバランスは危ういところに来ている.特に問題なのは武力による現状変更が国連の常任理事国のロシア自らが行うことにある.日本も重要視する国連の活動だが、第2次世界大戦が終わった直ぐに世界平和のために設立したのはご存知の通りである.その際、国連の中で一国が暴走することを止めるために常任理事国5か国が選ばれた.その経緯は社会の教科書レベルで言えば戦争を起こさないために常任理事国としてのプライドを守ることが必要だったわけである.しかし、その常任理事国制度は国連の機能を曖昧にしてしまった.その当時の中国、ソ連社会主義国国家で民主主義国家のアメリカ、イギリス、フランスとのバランスが有った.その後ソ連は崩壊し民主主義国家のロシアに変わったのだけれども、実際のロシアは何故か完全な民主主義国家にならずにソ連の幻を纏った国になってしまった.その一つの要因は、プーチン大統領が国を率いたからだと思う.彼は、ご存知のようにソ連が崩壊したことを嘆き、強国だったソ連を再興しようと考えていた.世界の2代大国と言われたその地位に返り咲くためには強力な国家を作らなければならないと考えた.その形を作るためにこれまで大統領として職務を続けてきたと言って良い.曲がりなりにもロシアは、落ちぶれた国家ではなく軍事力でも秀でた国となり経済的にもエネルギー資源を元に国際社会で一定の地位を維持している形である.

 そして、その転帰はやはりオリンピックに来賓として呼ばれたにも関わらず、自国の選手団はロシアと名乗れずROCと呼ばれる屈辱的な姿を見て世界を見返してやろうと考えたのだろう.自分達は正しいことをしているにも関わらず西側諸国はロシアに言いがかりをつけてくる.自分達は虐げられていると感じていたのだろうと思う.そして、自国が民主主義国家になっていても自由主義陣営の仲間になることはこの先もあり得ないと考えたのなら、ロシアをこの先民主主義国家の一員として活動する困難さを感じたのかもしれない.

 しかし、それは間違いだろう.ロシアは他国から虐げられることは無かったはずである.戦争を起こさずそのまま進めば良かったはずである.でも、もう一度世界の大国として認められようとするなら他国を滅ぼしても構わないという意志が勝ったのだろうと思う.

 今回のロシアの動きは、ロシア国民すべてが望んでいることではない.ロシア国内でも反戦運動があると聞く.少なくともロシアは一枚板ではなく不安定な土俵の上で動いていると思われる.望みとしてはロシア国民がプーチン大統領を弾劾することである.それしか解決方法はないのではないだろうか.