春はまだ遠い

 曇り、気温はマイナス5度。


 春は、一進一退である。毎年のことながらこの足踏み感が冬の長さを思い知らされる。できることなら何月何日から春、その時点で平地の雪は無くなりますとでもしてくれたなら、大変ありがたい。

 

 しかし、自然はを司る理は、そうすることを許さない。そして今日もちらちら雪が降り、折角融けた雪山の雪を増やすことに成る。

 まあ、その中で暮らす道民もそのことに慣れているはずなのに、その慣れはあきらめに似たものなので、やはり慣れはすれども心の不満は晴れないと言ったところである。良く考えれば5月頃まで道路脇に雪が残っているのが常なのだから、3月中に雪が残っているのは、当たり前である。

 北海道に暮らす人は、根暗になり、人との会話が少ない傾向にあると思われがちだが、総じておしゃべり好きの人が多い。きっと雪に閉ざされる環境で、外に出て誰かと話さなければ気がおかしくなるので、人と会う機会が有れば洪水のように話をする人が多い。ただし、それは田舎の人に多いのであって都会の人はまた異なる。

 

 きっと都会に住む人ほど、周りに人が多すぎて却ってその中に適合できない人が多くなるのではないだろうか?外に出れば至る所に人影が有り、がやがやと騒音が溢れている所ばかりで、きっと一人静かに時間を過ごしたいと思う人が多いのではないだろうか。何て言うと、田舎者の戯言みたいに思われるだろう。

 こうやって何か型をはめて物事を考えたがるが実際は、そういった典型的に物事を分類することは不可能だと判っている。それが全てでは無いだろうことは百も承知でどうしても話を作ってしまうのは、人間の性のようなものである。

 春は、近くて遠い。誰か春の前髪を掴んで連れてきてほしい。