イメージダウンにつながってしまう

 晴れ、気温は4度.すがすがしい朝である.

 紅葉も進み、今が丁度見ごろで、場所によっては既に枯れ木の山になっているところもありそうである.

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際立つ菅首相の消極姿勢 学術会議側の要望塩漬け 初のトップ会談 - 毎日新聞

 この問題でひときわ目立つ報道を繰り返している毎日新聞.昨日の学術会議会長が総理との会談を行った結果に大きな期待をしていたようで、その進展の無さにがっかりしているのが記事から感じられる.

 毎日新聞的には、会長が強く首相に詰め寄り、任命拒否の理由を問いただす図を描いていており、その結果を記事にする予定でいたのだと思う.

 マスコミの、会談後の会長にインタビューを求めている記者たちも、何故、首相に任命拒否理由を問いたださなかったのか非難しているようだった.

 インタビューの詳細はこちらの産経新聞の記事が詳しい.

 普通に考えて、いくらノーベル賞受賞者だとしてもそれほど政治力を持っている人は少ない.強く首相にモノが言える人だとしたらそちらの方に時間を取られ研究一筋に生きる時間がないのではないだろうか.その辺りを攻める記者たちの遠慮なさは読んでいて恐ろしささえ感じる.

 今まで、反菅政権のマスコミ、野党は、表立って意見の言える元会長などを前面に押し出して日本学術会議は政府の方針に大反対であるとキャンペーンを張ってきた.確かに、それに呼応するように複数の学会が任命拒否に反対との声明を出してきた.

 あたかも多くの学者が政府の方針に反対しているという情報を流すことで世論を焚き付けようとしていた.しかし、きっと研究一筋の学者にとって政治の世界に影響されるのは迷惑であり係りたくないことの一つであろうと思う.特に理系の学者にとって巻き込まれたくないとの思いが強いだろう.

 政治に積極的に関わろうとするのは、やはり人文系の学者が主で、新聞の記事に意見を求められるような人たちの多くはその方面の人たちである.こちら系は、マスコミに係ることで評価を得るという目的があるため積極的に政治的発言をする.テレビのコメンテーターの多くは法律、経済といった人たちで占められているのはそのせいである.

 今回のコロナ禍で多くの医系の学者の方がテレビに登場したが、それほど長期に出演しているのはやはり偏った人ばかりの印象が強く、大半が単発の出演で終わっている印象である.

 

 今回の会談で見えてきたことは、日本学術会議という今まで国民の目にはあまり見えていなかった組織が脚光を浴びてしまったことで、その中の人たちが戸惑っている姿である.現会長がそういったことに慣れており、マスコミの流れに積極的に乗っかるような人だったならもっと炎が上がっただろうが、そうではないためこの先この話題は急速にしぼんでいくのだろうなということである.

 マスコミや野党にとって格好の反菅政権の材料を見つけたのにと思い始めているだろう.振り上げたこぶしをどこに着地させようか判っていない.

 この前も書いたが、任命を拒否された6人の再任命はあり得ない.いくらマスコミや野党が望んでも希望は叶うことはないだろう.繰り返すが、任命すれば政権の求心力は失われるし、これが理由で解散総選挙に行くなら国民はなぜ解散したのだろうと思うだろう.多くの国民は、学問の自由を否定されたと感じていないし、まずはこのコロナ禍の経済の落ち込みを解消して欲しいと願っているからである、

 

 ただ、この問題を振り返ってみると、国民の世論という錦の御旗を掲げて報道するマスコミが国民の世論と少しかけ離れているのではないかということである.今回の問題騒げば騒ぐほど、一部の権威を求める学者の思惑が見えてきて、却って世間一般の人が考えるところの「清く正しく」という印象を翻してしまった感がある.

 もし世間一般の人が持つ印象を維持するには、こういった任命問題で騒ぐより、選ばれた学者の皆様は国民のために科学が発展することを望んで色々な活動をしているという姿を見せるべきだったのだと思う.政府に対する提言や答申の中身などの実際の活動が全てだったと思う.