EU、中国への制裁発動

 晴れ、気温はマイナス1度.残った雪も日陰に積もった雪ばかりとなった.残念なことにそこから出てくるのは捨てられたごみばかりが目立つようになる.雪は汚いものを覆い隠してくれるが、それが無くなるとその中に隠されたものが明らかになる.

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 今の中国がこういった外国からの制裁処置を「すいませんでした」といって従うことは無い.却って意固地になり中国国内の人権侵害を強化する可能性すらある.

 今回の制裁を決めたのはEUであるため、EU圏の個別の国が制裁を表明したわけでない.ここが肝で、EU内の国が個別に対応するかどうかは不透明である.

 そのため中国も制裁を決めたEU議会の関係者への制裁を発表しただけでEU加盟国の全てに対して入国制限などの措置をとったわけではない.

 EUとしても中国との全ての関係を断つことができないと考えており、人権問題を俎上にあげないで見過ごすことはできない.そのため各国が個別に制裁を発動するよりも議会として発動するほうが簡単だったのだろう.

 EUに対する中国の進出はかなりのものであり、特にドイツへの中国資本の進出は顕著である.それ以外の国でも企業買収が進んでおり、社名は今まで通りだが経営権は中国人が握っているところも少なくない.そういった企業への制裁を発動できれば中国にとって大きな痛手だろうが、そういった打撃を避ける狙いも垣間見える.

 翻って日本だが、菅政権の動きは鈍い.安保条約を元にした対中国の動きは見せているが、事経済に関しては多くの日本企業が中国に進出しており製造分野での中国依存はまだまだ残っている.ここで中国が動けば相当なダメージが発生すると思われる.その点を鑑みて表立った人権問題に対する制裁行動を遠慮しているのだと思う.

 しかし、国際社会に対して日本の立場を表明しなければならなくなる時期はやがて来る.それは東京オリンピックのときかもしれないし、北京オリンピックの時かもしれない.その時までにウイグルや香港の活動家に対する人権侵害が解決しなければ日本も何らかの制裁を発動しなければならないと思う.その時までに中国依存をどれだけ減らしておけるかがカギとなる.

 

 今回もしこのまま中国の国内問題として処理をし、世界が中国を中心に回るようなことがあったなら日本はやがて中国に依存するようになるだろう.それは、同盟国としての扱いなのか属国としての扱いなのか判らないが、日本の国内政治に対して相当の圧力がかかるだろう.ある意味何時でも今の香港と同じようになることに怯えながら暮らしていくことになる.当然、中国様に批判的な意見を述べるだけで政治犯扱いされる国になるかもしれないのだ.

 少なくとも日本人としての国家を維持していくのなら中国の今の形での膨張に制限を掛ける必要がある.彼らが巨大化すればするほど自分たちの覇権の及ぶ範囲を拡大したいと思うからである.日本がその波をまともに受ける国の一つなのは間違いない.

 今回のEUの制裁発表に対して自民党はまともには動けないだろう.そういう党である.そこで動けるのは直接の利害関係者ではない野党なのだが、日ごろから垣間見える行動から国会で制裁決議を求めるような行動はとらないだろうと思う.

 そうなるとやはり何時もの様子見の態度をとるのだろうと思うのが残念である.