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今回のイスラム国の件、案外世界は無力であることが良く判った。マンガやアニメだと世界政府などという存在があり、そこに集まる各国の首脳が頭を突き合わせ議論するというような場面になるのだろうが、残念ながら今の現状はその纏める手段が無く、全ての国がこの問題に対して一致団結して事に当ろうとする状況では無い。
世界政府のようなものが無いと書いたが、それにあたる機能として国連がある。しかし、国連軍という名称があり国際紛争の平和的解決のため軍事力を行使することもあるが、如何せん機能していない状態である。
そもそも国連を弱体化させたのは、アメリカ政府である。世界の警察官を自負していた頃、目の前にある国連という組織がアメリカの行動を制約させることが不愉快だったため、国連の行動に従順では無かった。そして、アメリカの軍事力が相対的に縮小してきたと同時にその付けがま有ってきたと言って良いだろう。
ハッキリ言ってしまえば、世界の警察が居ない状況にここ数年陥ってしまった。良い悪いという意味では、いささか逸脱する行動を取ってきたアメリカだったが、その存在が大きいが故、世界に対しての何らかの歯止めになってきたのは事実である。
今その代りができる国が存在しない。その世界の秩序が乱れた時期にこの混乱が起き始めたという事である。ただし、秩序に関しては、あくまでもアメリカにとっての秩序であり、その方向性に対して異議を唱える国は当然多いものである。
今回のイスラム国の行動は、その世界の変化を見透かし、中東というある意味多くの国が進出しにくい地域の事であり、なるべくなら手を出さないことが自国のためという隙を突かれたといったところだろう。
この先にあるのは、間違いなく混沌である。イスラム国のみの事で済ますことが出来ればある程度均衡は取れるだろうが、そこに宗教が入るとややこしい。それもテロ行為を厭わない宗教がらみであるとしたら、国対国の構図では無く、いついかなる地域でも争いや事件が起こる可能性が高いという事である。
日本では、まだそういった過激な思想を持った集団が行動を起こすような体制では無く、日本人自体が油断しているが、この混沌が進めば、今回の人質事件のようなものが将来国内でも発生する可能性はあるという事である。
以前からそういった過激派組織のテロ行為は警戒されていたが、幸いなことに国内ではオウム事件以来発生していない。あの事件が国内にもたらした衝撃が毎月起こると考えたなら日本での経済活動は不可能になるだろう。
今後、そういった事件が国内で発生しないように、或いは発生した場合迅速に対応できるような環境整備が、どんなに反対しようとも出来上がることになる。それは、間違いないところである。そう世論は誘導されていくだろう。