アメリカ

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 今日の未明トランプ大統領が誕生した。アメリカのこととはいえ日本がアメリカの傘の下にいるうちは相手の影響をもろに受けることは間違いないため、彼らの動向をじっと伺うしかない。

 彼の演説の中で強調されたのはアメリカ第一主義という言葉だった。アメリカのためなら同盟国の不利益は考慮しないという考えの表れである。

 更に演説の際に移されるトランプ支持者の顔を見るにつけ、彼らが応援するのは白人至上主義の偶像であると考えてしまう。演説の中に感じるのはアメリカという国家を支えるのは、開拓者時代にアメリカに移民してきた末裔が担うという強い意志でもある。

 アメリカという国家ができたのちに、国境を不法に超えて密入国した人間はアメリカ人ではないと考えるのは、最近の世界の風潮である排他主義の一つである。

 日本にとって排他主義程怖いものは無い。何故なら輸出で経済を回しているため輸入国が自国生産の物を優先する排他経済を取るようになれば明らかに死活問題なのは言うまでもない。今までアメリカの同盟国として振舞うことで関税障壁を免れてきたからである。それが今まで通りにいかないとすれば、日本経済の先行きは暗くなる。

 世界で生まれた排他主義は、世界を席巻するだろう。アメリカが排他主義をとればEUも当然その流れに傾くだろう。その隙間にいる国々も同様の方法を取ったとき我々の進む道はどちらにあるか?

 日本が東洋の島国の地位に甘んじると覚悟を決めれば良いのだろう。国の人口が減り続ければ自然とその規模の国にならざる負えない。国が貧しくなり年寄りがあふれてしまっても最低限の暮らしを送れるように富を再配分すれば可能かもしれない。

 しかし、戦後奇跡的な回復をし、高度経済成長を過ごし、世界でも認められた国になった今、その境遇を甘んじて受け入れることは無いだろう。それなりに気概と誇りを持つからである。今でも首相が海外訪問するときは、昔の羽振りの良かった時と同じように大判振る舞いをしたい。その見えを張るにも日本は経済大国という呼称を捨てたくはないのである。

 そこにあるジレンマを何時か捨てないと未来の日本は借金ばかり背負った最貧国に成り下がるだろう。そのジレンマを乗り越える時が一刻でも早いほうが将来の日本人に残す被害は少ないだろう。

 ある意味トランプ大統領の誕生は、強い日本という国の看板を下ろすのか、それともその看板を確固とするためにどういった戦略を取るのかそういったかじ取りが必要だろう。誰が今後この国の主導者となろうともその筋の通った行動が求められることになる。